質問:
ある本にビブラートは故意に作ろうとすると危険だと書いてあったのですが、訓練でビブラートを故意に作っていいのでしょうか?
回答:
率直に言うと、大丈夫です。
それが何の本かも僕は存じているのですが、
その本によると、本来のビブラートは声帯の自然現象であり、
その揺れる早さも決まっていて約6回/秒くらいで揺れ、
その振れの幅は音量に比例して大きくなるものらしいです。
「ビブラートは理に適った発声をすれば自然に出来るもの」
とおっしゃるヴォイストレーナーもたくさんいますが、
では理に適った発声をしている人は全員ビブラートが出来るのでしょうか?
そして自然にビブラートが出来るようになった人は
みんな約6回/秒で繰り返されるビブラートで歌っているのでしょうか?
歌のどの場面でも?
本当にそうでしょうか?
僕の知り合いのプロの歌手は、
発声に関してはかなり高いレベルだと僕から見て思うのですが、
にも関わらずビブラートが苦手です。
また、発声面にまだ鍛える余地がある人でも
きれいなビブラートをかけられる人はたくさんいます。
という事から、発声が良い人が全員ビブラートが出来るという訳ではなく、
発声の良さとビブラートは必ずしも結びつく訳ではないようです。
そして色々なプロの歌手達の歌を聴けば分かりますが、
人それぞれビブラートに個性がありますよね。
みんながみんな約6回/秒で揺れるビブラートを使ってる訳ではありませんし、
歌手の方がみんな同じビブラートでしか歌わないとしたら
とても退屈でつまらない世界になってしまうでしょう。
という事はその自然現象としてのビブラートは、
ごく一部の世界を除き、
現在の歌唱においてそんなに必要はないように思われます。
バイオリンや器楽では、当然ですがみんな人為的にビブラートを作っています。
僕の教室ではその理論と訓練方法を声に応用しているだけです。
自然なビブラートか人為的なビブラートかというのが重要なのではなく、
大事なのは人が聴いていて心地良いかどうかではないでしょうか。
ビブラートを故意に作ると危険というのは
間違ったやり方をする事で不自然なビブラートになってしまう可能性がある、
と言う事ではないかと僕は考えています。
(正直それ以外には特に危険な理由は見当たらないのです)
通常とは違うビブラートの作り方をすると、
トレモロやチリメンビブラートのような、
震えたような声の揺れになる事もあります。
でもそれも個性として考えてしまえばOKになってしまうので、
これが間違っているかというと必ずしもそうとは言えません。
「間違った練習をすると間違った○○が身につくから危険」
という言い方をもしもするのなら、
これはビブラートだけに関わらず
どの練習に対しても言えることだと思います。
ビブラートの練習をするから声帯がおかしくなるとか
そういった症状は未だかつて僕は見た事も聞いた事もないので、
その辺は安心して大丈夫だろうと思います。
批判をするわけではないのですが、
その「ビブラートを故意に作ると危険」と書いてある本自体が
そもそももう何十年も前に作られたものなので、
現在はもっと進んだ理論、新しい考え方があるのです。
比較的新しい理論では、
「ビブラートの練習は喉の筋トレやコントロールにいい」
と考えているものが多いです。
ですのでそこまでその言葉を気にする必要もないと思います。
ただ力が入り過ぎるとビブラートも不定期で不自然な揺れ方になりがちなので、
リラックスしながら心地いいビブラートをイメージして練習するようにしましょう(o^-‘)b
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