【質問】
初めまして、いつもメルマガ拝見している者です。
ブログやメルマガの内容を大変参考にしています。
私は曲を歌ったりしていると、
呼吸が浅いのか、すぐ息が続かなくなってしまいます。
どうすれば良くなるでしょうか?
【回答】
フレーズを歌っていて息が続かない、
息が苦しくなってしまうというのは
ボイストレーニングの指導をしていると
よく受講者の方から相談される質問の一つです。
歌のフレーズで息が続かないと
自分の呼吸が浅いから息が持たないのではないか、
または自分の肺活量が足りないのでは、と考える方もいますが、
実際にレッスンで見てみるとそうではない事がほとんどです。
吸う息の量が足りなかったり呼吸が浅いのではなく、
それよりも発声時に息の無駄遣いをしてしまって
息の量が足りなくなっている事が主な原因です。
喉頭の中にある声帯は左右に2枚存在していて、
お互いが中央に寄って閉鎖している状態の時に
肺から空気を流し込むと声帯が振動して声が生まれますが、
この声帯が閉鎖度が高く振動効率が高い状態だと
大きな張りのある声が出ます。
逆に左右の声帯の間に隙間が空いていると
左右の声帯の下で空気の圧力を作れず
振動効率は下がり弱く掠れた声になります。
もう一つの側面から見てみましょう。
2枚の声帯は閉鎖していれば閉鎖しているほど
声帯の間から空気が漏れにくいため、
声帯より上部の口や鼻へ抜けていく空気の量は少なくなります。
そして逆に声帯が開いているほど
その隙間から空気が漏れ出ていくため、
口や鼻へ抜けていく空気の量も多くなります。
つまり、きちんと声門閉鎖を行えている
張りや声量のある発声であればあるほど、
発声時に使用する呼気量は少なくなるということになります。
ボイストレーニングでは
たくさん息を出そう、声にたくさん息を乗せよう、
という指導法や概念もありますが、
実際の理屈で考えると息の量は減らしていった方が
逆に声量は大きく出やすくなり息も長持ちしやすくなります。
もちろん歌の中では常にバッチリ声帯を閉鎖して
最小限の呼気で歌うわけではなく、
敢えて声を掠れさせたりなどの様々な音声表現をするため
息の量が多少増える事もあったり全て一概には言えない所はあります。
でもそれを加味しても、
よほど特殊なものを除いていくと
どのジャンルの歌であっても実際歌う時には
そんなに多くの息の量は必要ないと言えます。
私の指導の経験上でも
肺活量や呼吸に問題があって
歌のフレーズが続かない方というのは非常に稀で、
おそらくもし肺活量に問題があって歌えないという方がいるとしたら
それは日常生活や運動にも支障が出るレベルだと考えられます。
大人と子供は体の大きさが違うので、
当然肺活量も体の大きさ分の差が出るわけですが
では子供は歌う時に大人と比べて
全然息が続かないかというとそうでもないですよね。
ですのでこうやって考えていくと、
呼吸法や肺活量が原因で息が続かないというのは考えにくく、
息の量を増やそうとするよりも
声帯のコントロールを磨いていくと
息が続くようになったり根本的な解決に向かっていくかと思われます。
ただ人によっては発声に問題があるのではなく
何か声帯に器質的な原因があったりなどで
声帯が上手く閉まらない場合もあります。
それが例えば声帯結節や声帯ポリープ、ポリープ様声帯など
声帯に間隙が出来るような音声疾患であれば
ボイトレだけでは改善できないものもあります。
今回質問者さんの年齢も分からないのですが、
もし高齢だとすると声帯粘膜の弾力性も低下するので
弾性低下によりキレイに粘膜振動が起こりにくくなって
掠れてきて空気が少し漏れやすくなったり雑音が入ることもあります。
音声疾患の疑いや自覚症状があるのであれば
一度専門のクリニックの診察や治療を受けてみるといいでしょう。
息が苦しくなると全身に力も入りやすくなってしまうので、
歌う時の呼吸は楽な方が良いと思います。
これから息が長持ちするようになっていくといいですね!
参考にしてみてください。
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