ボイトレブログ　～ボイストレーナーAKIRA公式Blog～

※メルマガでのQ&Aを掲載しております。

【質問】

こんにちは。
以前質問させて頂いた「〇〇」です。

先日はとても丁寧な回答有難うございました。

最近気になったのですが、
よくボイトレでは本番前はあまり食べない方が良いと言われていますが
AKIRA先生自身は食べた方が声が出るとメルマガで書いておられました。

本当の所はどちらが良いのでしょうか？

お手すきの時にメルマガで回答をお願いします。
 

【回答】

そうですね、私は先日書いたように本番前にはよく食事をします。

私の個人的意見ですが、こういった類のものは
人によって正解は変わるのではないかと思っています。
 

例えば本番前に食べることで
起こりやすくなる歌での悪影響を挙げていくと、

・集中力が落ちる
・曖気(げっぷ)が出やすくなる
・深い呼吸がしづらくなる

などがあると言われています。
 

このような悪影響がある事も知った上で
私はライブや本番前はいつも食べるようにしていますが、
なぜかというと上記のような悪影響が自分にはそれほど当てはまらない事と、
食べないよりも食べた方がいつも声が出やすいと感じているからです。
(でも本番直前に食べたり満腹まで食べることは稀ですけど)

食べると起こる良い影響として説明できるのは、
発声の筋肉は様々にありますが
咀嚼や嚥下の筋肉と発声の筋肉が一部共有しているため、
よく食べる事でそれらの筋肉が動きやすくなると考えられます。

ですので声が出しやすくなるんですよね。

また、私は過去に空腹状態だと逆にそれが気になってしまい
良いパフォーマンスが出来なくなったりする事もありました。

自分で今までどちらも試した経験から、
食べないで歌うより食べて歌う方が良い声が出ているため
それが分かってからは毎回食べるようにしています。
 

実際に私の周りでも
食べない方が声は出るという方もいれば
食べた方が声が出るという方もいます。

悪影響と良い影響が両方存在しているので、
それを知った上でどちらを取るかを選択するのが良いのではないでしょうか。

 

こういう意見が分かれるものは他にもあって、
例えば

「タバコは声に良くないので止めましょう」
「お酒は声に良くないので止めましょう」

という言葉についても同じように言える所があります。
 

タバコやお酒が与える影響については
私も過去に書籍やブログでも何度か書いてきているのですが、
その影響をあまり自分で感じなかったり
もしそれらを止める事で
自身に精神的ストレスが溜まって
起こる悪影響の方が大きいのであれば
無理やり止めなくても良いと思います。

統計的、生理学的にタバコやお酒は
声に良くない影響はあると言われていても、
それがどの程度自分に悪い影響を及ぼすのか、
どの程度声が出しにくくなるかは人によって違いがあります。

またタバコやお酒を止める事のストレス度合いも
人によって違うでしょう。
 

そしてタバコを吸ったりお酒を飲んでいても
素晴らしい発声や歌唱が出来る方もいますからね。

単純に「こう言われてるからダメだ」ではなく
どういう影響があるのかをきちんと知った上で
自分にどちらが合うか合わないか、
どちらを取るかを考えて決めていくのが良いんじゃないでしょうか。
 

発声も人間の体も脳の働き方も
より深く学んだり沢山のケースを見るほど実感しますが、
ある程度不変の理屈や法則はあっても
体質や感受性、思考などが人によって違うため
みんな同じように全てこうする方が良いという事でもありません。
 

基本的にこういったものは
万人共通の正解があるわけではないと考えて、
情報をただ鵜呑みにするのではなく
自分はどうかを試してみて考えるのが良いかと思います。

参考にしてみてください。

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