ボイトレブログ　～ボイストレーナーAKIRA公式Blog～

※メルマガでのQ&Aを掲載しております。

【質問】

初めまして。
当方20代で歌手として活動しています。

私は結節を2年前に作ってからずっと
声が出しにくさを感じています。

日によって声の出にくさも違うのですが
特に歌っていても息が続かなくなったり
特に高い声が割れてしまったり掠れてしまうため
以前歌えていた歌も歌えず落ち込んだり悩んだりしてしまいます。。

手術をしても再発したりすると聞いて今はそのままにしていますが
AKIRAさんはボイトレで何か良い方法はご存知でしょうか。

ご回答宜しくお願いします。
 

【回答】

声帯結節は厄介ですよね。

２年前から結節を持ちながら歌手活動をされているという事で、
きっと現在までに色々な苦労をされてきたのではと思います。
 

声帯結節を作ってそのまま歌い続けている方は
私の周りのシンガーでも結構います。

また、私のレッスンに来る方で
「声帯結節を持っているけどボイトレで何とかしたい」という方もいます。
 

私個人の意見や過去の経験、考察を踏まえて書くと、
結節の形状や硬さ、大きさにもよりますが
それが小さなものであれば発声への影響は少なく
ボイトレの効果も見込めるものもあります。

実際私が結節がある方へボイストレーニングを行い
本人も満足して頂けるぐらいに効果も出せている例もありますが、
大きな結節がある場合だと話が少し変わってきます、

結節が大きく硬いほどボイトレの効果は出にくくなるため、
その場合はボイトレで何とかしようと考えるよりも
まず治療を優先する方が良いかもしれません。

 

声帯結節は声帯の過剰使用や過剰負荷により
両側の声帯粘膜表面部に出来るタコで、
この両側の隆起物が声門閉鎖や粘膜振動を邪魔してしまうため
本人の思うような声が出せなくなってしまう音声疾患です。
 

主な声の影響としては
特に発声時の高音の出しにくさ、息の持ちの悪さ(MPT減少)が起こり、
また結節が硬かったり大きければ
声が割れたり不規則性雑音も入ることもあります。

正常な方と比べて日によって声の調子の波が大きくなるのも特徴です。
 

結節は出来てそんなに時間が経ってない新鮮な状態であれば
安静にしていたり音声外科の保存療法で消える事が多いです。

ところが結節が出来てから年月が経ち陳旧性になればなるほど
保存療法による結節消失の確率は下がると言われています。

私は実際に自分で作ったことはありませんが
生徒や知り合いのケースを見ているとその通りだと感じています。

 

安静治療を行う場合は

あまり声を出さない
小まめに水分を取ったり声帯の保湿を心がける
睡眠や栄養を取って回復を早める

などがあります。

私が結節を持つ方にボイトレを行う場合も
声を出し過ぎずに共鳴腔を広げたり喉頭を下げたり喉頭を柔軟にして
声帯により負荷がかからない発声に変えながら
喉のケア方法も細かく教えて結節が小さくなるかどうか様子を見ていきます。

日数をかけて様子を見ても変化なし、
また悪化するようなら日常で発声する時間をより減らしたり
外科治療など別の解決法を探したりします。

 

手術をする場合ですが、
声帯結節の手術自体は大がかりなものではなく
通常は入院する必要もなく短時間で終わります。

ただ結節は切除した後は
２週間近く一切沈黙しなければならず、
その後１～２ヶ月かけて少しずつ発声をしながら
以前の声量まで戻していくような流れになります。
 

仕事や日常生活、音楽活動などで声を使う方も多いでしょうから
それだけの期間声を抑えたり沈黙が難しい方は手術を躊躇されたりします。

仕事などでいつも声を使わなければならない場合は
仕事が休めず手術も出来ず、
毎日声を酷使してより悪化していくという悪循環に入る方もいます。
 

術後一定期間の沈黙が可能であれば
手術自体にはそこまで大きなリスクはないと考えられます。

ちなみに結節を長く持っている方が手術で切除すると
発声の感覚が大きく変わるので、
新しい感覚に慣れるのに時間がかかることもあります。

 

手術をして切除してもまた再発するかもしれないとの事ですが、
これは発声法や日常生活によります。

大声を出す仕事や過密スケジュールの音楽活動などで
いつも声帯に高負荷をかけている方は再発の可能性はあるでしょうし、
逆にそうでなければ再発の可能性は少ないでしょう。
 

また、声帯や喉に対しての
日常のケア方法を細かく知っていれば再発防止になりますし、
そして治療後の再発予防のためのボイトレは非常に効果的です。
(ボイトレの内容にもよりますが)
 

まだお若いですしきっと才能も発声も
これからまだまだ大きく開花する可能性を秘めていることでしょう。

声帯結節の大きさにもよりますが、
もしある程度大きいものであれば
今後一生その結節と付き合っていくよりは
先々を考えて切除する選択肢を持つのもありかもしれません。
 

もし手術をされた場合は再発しないように
その後の予防やボイトレでの発声改善に気を遣うことをおススメします。
 

上手く解決して自由に歌えるようになるといいですね！

参考にしてみてください。

 

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