【質問】
高音を出す時に、のどを閉めてしまい、なかなか声が出ません。
喉仏も上がってしまいます。
喉仏が下がった状態で、歌うにはどうすればいいでしょうか?
【回答】
高音発声になると喉仏が上がってきて
体感的にも聴覚的にも苦しい声になってしまうというのは
多くの方が抱えている悩みでもありますよね。
私のボイトレのレッスンに来られる方の多くも
高い声が出ない、または出るけど苦しい、すぐ疲れてしまうなどの
似たような悩みを抱えています。
この辺の解決法というか、解決のための考え方を
ざっくりとここではお伝えしますね。
喉仏が下がった状態で歌うためには、
喉仏が上がらないようにすればいいわけですが、
そもそも喉仏が上がってしまう理由とは何でしょうか。
喉仏が上がるのは低い声では起こりにくく、
基本的にその多くは高音発声で起こります。
これはなぜかと言うと、
喉頭を上げる事で声帯の伸展などをしようとしているからです。
声帯は基本的に伸展する事で張力が作られ音が高くなるため、
高い声を出すためには音程を高くする分だけ
声帯を伸展させないといけません。
医学的には喉頭の前下方に付着している輪状甲状筋の働きによって
甲状軟骨を前傾させて声帯に前後の角度を作り伸展させると言われていますが、
声帯をスムーズに伸展できない場合には
喉頭を上げて声帯を伸ばして高い声を出そうとします。
これが高い声を出した時に喉頭が上がってしまう主な理由です。
ただこのように力で喉頭挙上させて高音発声をする場合、
その挙上する度合いにもよりますがデメリットがいくつかあります。
喉頭のすぐ上には舌骨があるため、
喉頭が上に上がると一緒に舌骨の位置も上がり
舌全体は上に上がっていきます。
舌が上に上がる事により
咽頭腔、口腔内のスペースが狭くなって声が細くなってしまったり、
舌が力んで固まっていると上手く動かせず滑舌が不明瞭になります。
また歌唱中は舌を動かすので、
発音によって音程が取り辛くなることもあります。
そして高音発声中は舌だけでなく喉頭やその周囲に力が入り続けるので
喉が苦しくなったり疲れやすくなります。
強い力で引っ張り上げている喉頭を
舌骨下筋群の力で下げる事も出来ますが、
そうすると喉頭を上げる力と下げる力が両方働き
互いに拮抗し合うので両方の力が強いほど喉の疲労感が大きくなります。
上下の筋肉の引っ張り合いにより喉頭は力が入り、
自由で柔らかい声の動きは難しくなります。
このような発声上のマイナス点がいくつも出てきます。
発声時の声帯のスムーズな伸展は地声で劣位、裏声で優位になりやすいので、
喉仏が上がってしまう症状は
地声だけで高音まで押し上げている方によく起こります。
地声で押し上げる方は
喉仏が上がってしまう以外にも、
息をかなり強く入れて声帯の振動数を上げる事で
高音発声をしようとする方が多い傾向があります。
息を強く吐いて声帯の振動数を上げると
高音は多少出やすくなりますが、
そこに頼ってしか高音発声が出せないとなると
大声でしか高い声が出せず強弱や音色が単一になります。
また、地声で強く押し上げている状態では
声帯の振動数は下がりやすいため
音程もフラットしやすくなる特徴があります。
あくまで高音を強く出す事自体は問題ではなく
「大声でないと高音を出せない」という状況が問題なのですが、
そのせいで表現がワンパターンになってしまっていると感じる場合は
その発声を少しずつ改善していけるといいでしょう。
先述したように地声発声だけだと声帯は伸展しづらいので、
もし根本的な解決をしようとするなら
声帯を引き伸ばしやすくするために
裏声を鍛えたりミックスボイスを習得する事が必要になります。
そうする事で声帯はより自然に伸展し喉頭は上がりにくくなり、
喉周囲は力みの少ないまま発声することが出来るようになるでしょう。
今後高音がより自由になるといいですね!
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